南房総・鴨川市天津鎮座 | 源頼朝公が伊勢の神宮より御分霊を勧請し創建された八百余年の歴史をたたえる神社

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房州伊勢の宮 天津神明宮 三月の神訓   気負わず 気取らず 無理をせず
禰宜日記
〔2019/09/15〕 被災7日目:涙
午後、安房支部・莫越山神社の齋東くんが内房の方をまわるということで、私も一緒することにした。さらにバッタリ、うちの神社に物資を届けに来てくださった千葉県氏子青年協議会の今富会長、宮間さんとも出会い、今日は状況を見ながら、物資も配布しているそうで、せっかくなので同行していただくことにした。

鴨川から長狭街道に車を走らせ、平塚入口交差点から荒川を抜けて平群経由で待ち合わせ場所の岩井神社を目指す。
鴨川市から南房総市に入ったところで風景は一変する。明らかに暴風被害を受けた家屋の割合が増えた。鴨川市では最も東京湾側に位置する大山地区の被害が特にひどいようであるが、やはり今回の台風は東京湾沿いのダメージがより大きいと思われる。
建物が全壊している牧場の建物などもあった。

岩井神社をお参りすると、手水舎はつぶれてしまって片付けられ水盤だけが残っている状態。社殿も屋根が大きな被害を受けているようでブルーシートに覆われていた。
宮司さんを訪ねると、自分の人生においてもこんな被害は初めてだそうで、相当に疲れているようすであった。

岩井神社を後にすると北上し、今回被害が大きかったと言われている鋸南町を目指す。
途中、一帯の民間拠点になっているiPlanerの福原建築を訪れるとボランティアの方々、物資を取りに来た地元の方々で活気にあふれており、とても明るい雰囲気でもあった。
マスコミの取材も入っていた。
元々岩井地区の若者たちが少子高齢化の進む地域をなんとかしたいと立ち上がったiPlaner。青年会議所の会員も多く、私も元々彼らとは御縁があったが、台風被災という地域の危機を文字通り若者たちが救っていた。本当にすばらしいことだと思う。

鋸南町に入るとさらに家屋の被害が目立つようになり、特に勝山地区ではSNSでも拡散しているようにコンビニの屋根がなくなり、店内はまるで爆撃された後のようになっているところなど、被害の甚大さを実感した。

保田地区にある鶴崎神社をお参りした後、宮司さんのお宅を訪れると、宮司さんは近所の方と一緒に近くの民家の屋根にブルーシートをかけている最中だった。
まだ電気も来ていないという。こちらも過酷な生活を強いられている。
でも、意地でも例祭は氏子さんと斎行したそうだ。胸を張ってお話しされていた。まさに神職の意地。地元の意地である。

続いて、我々は南下し、途中富浦に立ち寄る。
こちらもかなり被害の大きな地域で、屋根が全て吹き飛ばされた建物も。停電が復旧していないエリアもある。
瀧渕神社の宮司さん宅を訪ねると、納屋の屋根も壁も剥がれ吹き飛び、悲惨な状況であった。こちらも停電中。
宮司さん曰く、これはたぶん竜巻が起きたんじゃないかな、と。
それくらいの壊れ方だった。

富浦から北条海岸を通り、西岬、洲崎方面へ。
北条海岸沿いの建物もかなり被害を受けていた。
壁も吹っ飛び、事務所が丸見えになっているビルも。

民間の物資拠点にもなっている洲崎神社に到着。
暴風の被害が大きく、境内はある程度は片付いていたが、飛ばされた建物はそのままになっており、参道階段下にはロープが張られ、登拝はできない状態となっていた。
物資を受入れている洲崎神社社務所に水などを納めさせていただく。
とそこで、なんと二枚目の名刺で出会った、ミヤさんとバッタリお会いした。いやはや、なんという奇遇。SNSの投稿を見て、物資を洲崎神社に持ってきたのだそうだ。まさに御神縁。
本当にいろんな人たちが動いてくださっている。ありがたい。

洲崎神社で氏青さんとはお別れし、我々は特に被害がひどく、当初は支援の手も薄く孤立してしまっていた館山市布良地区へ。
地区に入った途端呆然としてしまった。ほぼ全ての家の屋根が被害を受け、地区内のそこら中に飛ばされた瓦など瓦礫の山ができている。
氏神神社である布良崎神社も神輿庫がそっくりそのまま飛ばされるなど、大きな被害を受けた。

布良地区にあり、十年以上御縁のある八代さんの育った富崎館に立ち寄り、ちょうどいらっしゃった八代さんにお会いでき、物資を納めさせていただく。
富崎館は海に面して建物が突き出しているのだが、今回の台風でその部分が屋根だけでなく壁も飛ばされ、むき出しになった鉄骨の躯体が残る姿となっている。
幸い、この土日でボランティアも多く入り、一通り片付けは済んだそうだが、完全な再建にはかなりの時間がかかると思われる。
八代さんもお話ししながら、涙ぐまれていた。

先日の日記で記した通り、この災害でも強く生きる房州人であるが、しかし、やっぱりみんなつらいと思う。布良地区では停電も長期化しており、そろそろ疲れもどっと出てくる頃だ。

台風襲来後、私としては初めて内房方面に足を踏み入れたが、自らの眼で見て、感じて、地元の方々とお話しして、改めて台風15号の被害の甚大さ、深刻さを痛感した。
鴨川市ももちろん被災したわけであるが、だが、おそらく内房地区と比べれば、おしなべて復旧のスピードは早いと思われる。一段落したらそれで終わりではなく、今度は復旧が遅れている地域へのピンポイントで支援が必要になってくると思う。

最後に安房神社をお参りする。
すでに辺りは真っ暗に。
私は帰途についた。


[WALK:7464]

水盤だけになった岩井神社の手水舎
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本殿はブルーシートに覆われていた
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にぎわうiPlanerの拠点
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保田地区(元名)に鎮座する鶴崎神社。倒木が間一髪、社殿をかすめていた
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まるで地震の後のよう
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富浦。屋根が全て飛ばされてしまっている
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洲崎神社の状況
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布良崎神社の神輿庫
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布良崎神社より海を望む
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布良地区にはこうした瓦礫の山と屋根の被害を受けた家々が…
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− 2021年7月29日 17時21分 更新 by やまちゃん

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