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禰宜日記
〔2021/09/12〕 WEリーグ開幕から考えるビーチサッカーの普及
今日からいよいよ日本女子サッカー界では初めてとなるプロリーグ「WEリーグ」が開幕した。
開幕ラウンドはなんと2試合がテレビ地上波で放送された。
これはなでしこリーグ時代を通じても画期的なことだろう。
かの電通がマーケティングやプロモーションに入っているようだが、田嶋会長肝いりのリーグ創設だけに、1年目としての気合がうかがえる。
私もいくつか試合を視聴したが、スタジアムの人の入りはなかなかのものだった。
まぁでも、今回が開幕戦だったこともあるので、これをどう継続し、発展させていくか、今後が重要だ。

私が注目しているのはリーグのネーミングスポンサー「Yogibo」
これはうちも嫁さんのおねだりで購入したように、女性層に支持を受けているソファーのメーカーだけあって、ここはなかなかのセンスを感じる。どのような経緯で「Yogibo」がネーミングスポンサーを請けることになったのか、興味があるところでもある。
スタジアムによっては「Yogibo」プレゼンツによる、「Yogibo」のクッションソファーに寝転がって見られる特別席などもあるようで……、試合展開によっては本当に寝てしまいそう。笑

開幕ラウンドを見る限り、確かにオープニングセレモニーでチェアマンが「WEリーグ」のコンセプト、ビジョンをメッセージしたり、「Yogibo」によるコラボ企画があったり、地上波での放送あるいはインターネット配信サービス「DAZN」が全試合中継したり、と話題性はあるが、試合を見た感想としては、正直、なでしこリーグ時代との違いをあまり見出すことはできなかった。
もっとも同じ選手たちがプレーしているので無理もないのかもしれないが、試合の演出やスタジアムの雰囲気づくり、男子とはまた違った特長のある放送など……、もっと大きな変化があっても良かったのではないかと思う。
そこらへんもおそらくは試行錯誤しながらの展開にはなっていくだろう。大切なことは現状に満足せず、常にブラッシュアップを挑戦的に行っていくことだ。


さて、WEリーグ開幕を踏まえて、ここ最近、ビーチサッカーの発展について考えることが多い。
私もその当事者であるし、ワールドカップで準優勝という輝かしい成績を収めたばかりであるが、残念ながら、日本国内でビーチサッカーに注目が集まっているとは言い難い。
昨夜、深夜にフジテレビがワールドカップの総集編を地上波で放送していたが、準優勝のニュースも翌日のニュースや情報番組で触れられた程度で終わってしまった。世の中の注目度の一つのバロメーターともなるヤフーニュースでの扱いも大きなものではなかった。

しかも、タイミングが悪いことに、新型コロナウイルス感染拡大が深刻化し、緊急事態宣言が延長される中で、関東ビーチサッカーリーグも延期。さらに9月後半に行われるはずだった全国大会も中止になってしまった。
せっかくのチャンスなのに、本当に残念な状況だ。

ならば、じっくり腰を据えて、ビーチサッカーの発展を戦略的に図っていくしかない。

ほとんどの競技でそうであるように、日本においてはその競技の発展は代表チームの成績如何にかかっていることが多い。
女子サッカーもしかり。あるいは五輪に出場している各種目も、ここぞとばかり、普及のチャンスとがんばる。金メダルを獲ったり、好成績を集め、注目されれば競技人口も増える。例えば、フェンシングなどはその一つの好例であろう。今後はスケートボードやスポーツクライミング、サーフィンなどにも期待が集まっていくだろう。(まぁ、これらのニュースポーツ、実は競技人口は元々多かったりするが)

ただ、代表頼みの普及は女子サッカーでも証明されているように、代表チームの成績が奮わなければ、みるみる内にそのスポーツ種目が衰退してしまい、本当の意味で深く根づかせるためには代表チームの成績に左右されない、ある種、文化にしていく、ということが大切だと思う。

ここで、ビーチサッカーの特長についてあげてみたい。

1.高いエンターテイメント性
ビーチサッカーは37×28mを基本とするサッカーのカテゴリーとしては比較的狭いコートで行われる。
試合は攻守の切り替わりが激しく、息をつく間もないほど、目まぐるしい展開となる。
さらに、サッカーと違い、オフェンス(攻撃)のアクロバティックなプレーが優先されるため(コントロール下でオーバーヘッドキックを行う選手の身体に触れたり、上げたボールに触れるとディフェンス側のファウルになる)、楽しく迫力ある魅せるプレーが次々に繰り広げられ、見ていて飽きない。
そして、試合中はノリノリの音楽を大音量で流しながら、DJが入って、観客を盛り上げる。
エンターテイメント性の高いスポーツと言える。

2.長い選手寿命
ビーチサッカーは他のカテゴリーのサッカーの比べると、選手寿命は長いと言える。
砂の上でプレーするため、衝撃が吸収され、私も実際取組んでいるが、相手選手と交錯しない限り、いわゆる「自爆事故」でケガをしたりすることはほとんどない。
逆にビーチスポーツはリカバリートレーニングにも使われるため、実際、元Jリーグの選手で、ケガによって引退を余儀なくされたが、ビーチサッカーならプレーができるということで、ビーチサッカーに転向し、大活躍する選手も少なくない。
また、長く続けられることから、海外を含め、ワールドカップクラスの選手でも30代後半どころか、中には40代の選手も珍しくないのである。

3.老若男女だれでも楽しめる。
前項に関連して、ケガのリスクが少なかったり、あるいは砂の上で歩いたり、走ったり、ボールを扱うことが体幹強化にもつながる。
また、ビーチサッカーをやればわかるが、全身運動であり、全身が程良く疲れる。
私自身はダイエットにもかなりの効果を発揮した。コロナ太りで一時80kg近くまで行った体重が今では75kgを切るまでに減り、体重が減っただけでなく、筋肉量が高まったために、体組成計「InBody」で計測すると、45歳にしてはかなり良いスコア(最高84点)が出たりする。
子どもやお年寄りにとって、転倒などによるケガのリスクも低く、だれもが楽しめるスポーツの一つと言えるだろう。

4.世界が近い。
ビーチサッカーは、男子カテゴリーにおいて、最も早くワールドカップ(優勝)を手にするだろうと言われており、実際、今回のワールドカップは優勝に肉薄した。
しかしながら、まだまだ競技人口は少なく、一言で言うならば「世界が近い」スポーツである。
小中学校から高校・大学生くらいまでの若い内からビーチサッカーに取り組めば、将来代表選手になることも夢どころか、十分現実的であるし、女子に至ってはいまだ代表チームすら組織されておらず、全国的にもおそらく200人程度の競技人口のため、年齢を問わず、代表に選ばれる可能性は現実的な確率としてあり得る。
さらに、ワールドカップに出場した選手たちであっても、関東ビーチサッカーリーグともなれば、目の前でプレーを観戦することができ、さらに、選手たちの多くは非常にフランクな性格で、ビーチサッカーを教えてくれたり、一緒にプレーしてくれたりもする。
世界を目指したい人にとっても、世界を身近に感じられる、夢のあるスポーツなのだ。


これら、ビーチサッカーの特長を活かして、発展を図るために、では、どのような方策を講じるべきなのだろうか。
当然先人たちもこのテーマを追求し続けてきたわけで、一筋縄ではいかない。

私なりにいくつかポイントをあげてみようと思う。

1.競技ではなく、運営サイドの人財の活用
ビーチサッカー界に関わっていて思うのは、関わるほとんどの人たちが競技目線であるということである。
選手はもちろん、指導者もやはり試合で勝つこと、競技性を高めることを追求する。
逆に、なでしこリーグには存在していた、運営サイドの目線をもつ関係者は極めて少ない。
したがって、大会運営を見ると、まだまだオーガナイズされておらず、しっかりと大会を準備し、運営するためには課題も多い。
マーケティングやプロモーションを展開していくのであれば、競技面ではなく、運営面を優先し考えられるような人財を活用しなければならないだろう。
逆にサッカーやビーチサッカーに関わったことのない人の視点も必要だと思う。

ビーチサッカーの特長を客観的に冷静にとらえ、それを人々にリーチさせていく。
リーグをしっかりオーガナイズし、競技者の独り善がりにならない、付加価値の高い大会を企画・運営していく。
そういう人財を少なくとも各地域に若干名でも配置し、戦略的に推進していける体制づくりが求められる。

2.ビーチスポーツパークの整備
ビーチスポーツで不可欠なのが、専用のサンドコートである。
幸い鴨川市では、鴨川令徳高校によってサンドコートが整備された。これはビーチスポーツ振興においては非常に大きな出来事で、我々のチームも週3日、地元で練習できるようになり、人も次々に集まり、結果的に今年は男子チームを新たに組織することができた。

サンドコートは数あるスポーツ施設の中でも、コストパフォーマンスが抜群に高いと思う。
まず建設費も他のスポーツ施設と比べると、1桁、あるいは2桁以上少なくできてしまう。
サンドコートで一番イニシャルコストがかかるのは実は「砂」そのものである。そして「砂」代のほとんどが運搬賃である。理想的にはオーストラリアやベトナムなどから輸入した、夏季の日差しの下でも熱くなりにくいホワイトサンドを使いたいところだが、かなりの費用が必要となる。ビーチサッカーコート1面分で「砂」代だけで2,000〜3,000万円と言われている。
鴨川令徳ビーチコートの場合、地元房州産の山砂の洗い砂を用いたため、ホワイトサンドを使用するよりも4分の1程度のイニシャルコストで整備することができた。
あとは、ビーチスポーツに必要な備品や、素足で歩き回れるためにコート周辺に簡単な人工芝を張ったり、ボールの飛び出しを防止するための防球ネット、夜間でも練習ができるようにナイター照明などを整備する。これは予算に応じて、まずは、できる範囲で良いだろう。
また、トイレや、砂を洗い落とすためのシャワーは整備しておきたいところだ。令徳ビーチコートの場合、大会日は校舎のトイレを使用させていただけるほか、シャワーは水シャワーであるがDIYで制作した。笑

いずれにしても、行政が数千万や数億円、数十億円以上の費用をかけてスポーツ施設を整備している例を考えれば、ビーチコートはがんばれば民間でも整備できるくらいの予算規模で可能である。
例えば、熊本県にあるエボレパークは地元出身の松岡選手が自前の予算で、地元の土建会社の協力も得ながら、一式整備を実現している。

ちなみに、ビーチスポーツなんて砂浜でやればいいじゃん、という意見もあるのだが、ビーチスポーツは素足でプレーするため、砂浜の場合、流木や貝殻、ガラスなどの危険物を取り除く必要があり、また、ある程度砂を柔らかくする必要があることから重機の投入なども必要になってしまう。
返って高くつくし、結局、年間を通して、砂浜ではコンスタントにスポーツはできないのだ。
だから、砂浜のある鴨川市のおいても専用のビーチコートは必要だったのであり、逆に砂浜とビーチコートが相乗効果をもって、地域のビーチ文化を発信していくことにもつながるのである。

関東地区においては、現在、ビーチサッカー1面以上のコートサイズをもつサンドコートは、私の知る限り、鴨川令徳ビーチコートのほか、神奈川県横浜市にあるTAKAフィールド(ビーチサッカーの後藤選手が整備)、東京都立川市のタチヒビーチ、埼玉県越谷市のしらこばと水上公園、さらに今夏千葉市美浜区のJFAの夢フィールドにオープンした「ピッチ・カリオカ」の5ヶ所くらいであろう。

全国的に見ても専用サンドコートは、静岡県浜松市や愛知県碧南市、前述の熊本県菊陽町など、砂浜を除くと数カ所程度である。

ただし、私としては純粋なサンドコートをだけを整備しても、このコラムのテーマである普及においては意味がないと思っている。
前述したように、ビーチスポーツは高いエンターテイメント性をもっている。
したがって、予算はもちろん上乗せにはなるが、行政も関係できるのであれば、音楽設備や、コートのまわりにはカフェやバー、バーベキューコート、テナント出店で構わないのでさまざまなショップなどを設け、スポーツだけではなく、観光・商業消費も誘起するビーチパークとして整備してほしいと思っている。

こうすることにより、ビーチスポーツをやるだけの場所ではなく、ビーチスポーツを一つのコンテンツとしつつも、幅広い人たちが集まり、楽しめる場所になる。
海外にはすでにそういうビーチパークの文化が確立されている国もある。
鴨川市でもそういうスペースを実現したい。これがビーチサッカーに関わる私の究極的な夢である。

3.女性ファンを掴む。
ビーチサッカーは迫力あるプレーを近距離から見られることもあり、私は女性ファンが多く集まるのではないか、と期待している。
私の偏見ではあるが(笑)、ビーチサッカーの男子選手たちは、どこかしら、サーファーなどのマリンスポーツの選手たちと同じような雰囲気をもっており、それこそ、五輪で銀メダルを獲得した五十嵐カノア選手ではないが、女性ファンを惹きつける魅力をもっている選手が多いのではないかと思う。

WEリーグが「女性による女性のためのリーグ」であるように、世の中のスポーツ振興のポイントになるのは、今後、女性選手だけでなく、ファンとしてもいかに女性層を掴めるか、が一つの分岐点になると考えている。
ビーチサッカーは前述した、カフェやバー、あるいはリラクセーション、ダイエットなど、さまざまな要素と複合的に展開することにより、競技自体の魅力もさることながら、競技以外の要素においても女性を集められるのではないかと思う。
それだけのポテンシャルがビーチサッカーにはある。

そのためにはイメージを洗練させていく努力も必要だと思う。

4.ビーチサッカーの臨場感を感じられるネット配信
コロナ禍ということもあり、残念ながら、多くの試合は無観客で行われている。
本当はリアルな場で、リアルな雰囲気を感じてほしいところであるが、この状況がまだまだ続くことを考えると、違う手段を講じなけれならない。

私はアーバンスポーツ、ニュースポーツでは当たり前になっている、ネット配信をもっと活用すべきだと思う。
しかも、ただ試合を中継するのではなく、そこに場内の集音に加え、DJの音声や音楽も乗せて、スタジアムにいるような盛り上がりの中で観戦できる中継を行うのである。

我々がYouTubeなどで海外のサッカー中継を視聴した時、言葉の意味はわからないが、場内の雰囲気、さらに実況のアナウンサーの興奮に圧倒されることがある。
だから、ビーチサッカーでも、選手たちのプレーだけでなく、実況するDJやそれをさらに引き立てる音楽を加えた、エンターテイメント性の高いスポーツ中継を実現してはどうだろうか。

まさに音楽ライブとスポーツ中継を同時に楽しめるような取組みである。
プロバスケットボール・Bリーグでは、すでにアリーナでそのような演出を実現しているが、ネット中継で視聴者に向けてそこまで本格的な取組みをしている例はまだ少ないだろう。
ビーチサッカーが先陣を切るのである。

試合もデイゲームではなく、できればナイトゲームがベストだ。
ナイトゲームであれば、プレーもさらにスピード感を増して見えるし、視聴者の目線も選手たちにより集中する。要はビーチサッカーというステージが画面の中に形成されるのだ。
ピリオド間にはサンドコートでプロジェクションマッピングのショーを行ってはどうだろう。

ビーチサッカーの競技性も大切だが、日本のビーチサッカーはすでに世界有数のレベルに到達しているのであり、しかし、それにも関わらず、日本国内での盛り上がりがいまいちということであれば、それに競技を引き立てる他の要素を加えて、化学反応を起こし、そこから盛り上げていくほかはない。
そのためには、誤解のある言い方にはなるが、一旦競技の部分は忘れて、ビーチサッカーという文化、雰囲気、エンターテイメント性というものに注目し、そこにストロングポイントを見出し、世にチャレンジしていくべきだと思う。

ビーチサッカーをこれからはエンターテイメントととらえよう。
そうなると、また新たな道が見えてくるはずである。


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− 2021年9月12日 20時41分 更新 by やまちゃん

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