南房総・鴨川市天津鎮座 | 源頼朝公が伊勢の神宮より御分霊を勧請し創建された八百余年の歴史をたたえる神社

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禰宜日記
〔2021/10/06〕 #親ガチャ
朝の情報番組で「親ガチャ」について特集していた。
以前も同じ番組で取り上げられていたのだが、なんとも「SNSな」ことばの響きだ。

自分の人生がうまく行ってないのは、そもそも親の境遇で決まっている。
親の収入が低ければ、塾などにも通えず、旅行にでかけたりもできず、結果、良い大学にも入れない。良い企業にも入れない。親の容姿である程度自分の容姿も決まってしまう……。
親は選べないわけで、ガチャガチャのように、親を外したら、自分の人生は終わり……。
私は親を持ち、子を持つ、両面の立場を持つ身であるが、なんとも複雑な気持ちになった。

確かに、親子の関係はたいていの場合、複雑である。
私も親に対してはさまざまな感情があるのは正直なところだ。
親がパーフェクトだとは思わないし、平たく言えば「むかつく」ところもいっぱいある。
実際、ぶつかることも少なくなかった。

ただ、自分の人生がうまくいかないことを親のせいにしようなんて絶対に思わない。
そもそも、親のせいにした時点で、ある意味、親を超えられないことを自分で認めたもので、意地でもそんなことは認めたくない。
「親ガチャ」ということばは、若者ではやっているというが、ある意味人生をあきらめる表現であり、本来ならばチャレンジ精神旺盛で、何事にもあきらめず取り組めるはずの、バイタリティ満ちあふれた年代の人たちが、そんな「じいさま」「ばあさま」みたいなことを言っていることが情けない。
「親のせい」以前に、そんな根性では人生が楽しく開けることはないだろう。あきらめては成長もない。

「親ガチャ」で自分の人生を解決するような思考をもつ人間は、結局なんでも環境のせい、他人のせいにする人間だと思う。
私が企業の採用担当者なら絶対採らないタイプの人間だ。
仕事がうまくいかなければ、上司が、会社が、と自分を一切顧みることなく、なんでも周りのせいにすることが目に見えている。

「そうは言ったって、あなたは恵まれた家庭環境で育ったから、そういうことが言えるんだよ」っていう人もいるかもしれないが、私の父は、典型的なスパルタの昭和の父だった。いまでこそ、歳を重ねて心も体も丸くなり、孫(私の子どもたち)に対する優しさを見ていると私が子どもの頃との豹変ぶりに愕然としてしまうが、口より先に手が飛んでくる父だった。
いくら大人の事情とは言え、感情に任せて自分を叱っていたのではないか、と思うような出来事も記憶に残っているし、理不尽さもたくさん味わってきた。
まだ幼稚園の頃だったが、我が家では食事時にジュースを飲むことが禁止されていて、それでも飲みたくてオレンジジュースを飲んでいたら、隣に座っていた父が突然私を平手打ちし、それでも終わらず、父は私を担ぎ上げ、裏山にある墓場に連れていかれ、そこに生えていた桜の木に夕方の薄暗い中、小一時間縛り付けられ、一人にされたのを今でも覚えている。
いまなられっきとした「DV」案件だろう。
私はもちろん、我が子にそんな教育・指導はしないが、だからと言って、父を恨んでいることもない。

「反面教師」ということばもあるが、それも含めて、全てが「親の教え」だと思っている。
とにかく「親」は「親」なのだ。

「親ガチャ」と騒いでいる人たちは今度は自分が「親ガチャ」されるかもしれない。
否、もしかすると、子どもが思い通り育たないことを「子ガチャ」に外れたといか言い始めるのかな……(苦笑)

親も子も、家族も、あるいは友人も、会社の仲間も、他人は自分の思い通りにはならない。
逆に自分にはない個性をもっているから、時にはぶつかるし、むかつく思いもするけど、だが、その多様性で世の中、社会は成り立っている。

だから、他人を変えようとするんじゃなく、自分が変わらなければならない。
自分が変われば、他人も変わる。
「親ガチャ」とたやすく逃げる前に、まずは自分を見つめてほしいと思う。


[WALK:-]


− 2021年10月6日 16時43分 更新 by やまちゃん

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