南房総・鴨川市天津鎮座 | 源頼朝公が伊勢の神宮より御分霊を勧請し創建された八百余年の歴史をたたえる神社

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房州伊勢の宮 天津神明宮 五月の神訓   善いことを 考えなさい そして言葉に 出しましょう
禰宜日記
〔2020/05/29〕 鴨川市が目指すべきまちづくり その1
緊急事態宣言が解除され、新型コロナウイルス禍において次なるフェーズに進みつつ日本であるが、やはり、というか“解除”ということばが独り歩きしたせいか、北九州市ではクラスターが発生し、東京都においても(自分自身の)移動平均線を見ると、5月中下降トレンドであり続けたものがここ数日で再び上昇トレンドに転換しつつある不気味な兆候を示している。

まだまだ予断を許さない状況ではあるが、「三百六十五歩のマーチ」ではないけど、数歩進んでは数歩退く、そんなことの繰り返しになりそうだ。しかし、この一進一退を続けていけば、我々の生活はままならないものになり、社会システムが崩壊していくことも考えられる。もはや発想を転換した、思い切った施策、我々の行動変容も求められるフェーズになったと言えよう。

さて、当面は with Corona むしろ、これから新しく現れるであろう未知のウイルスも想定すれば with Virus と表現した方が良いだろうか。
そんな時代において、我らが鴨川市はどのような施策を取っていくべきなのか、まちづくりを目指していくべきなのか、以前、日記で予告はしていたが、ここに自分なりに考察、提言してみよう。

1. 新型コロナウイルス禍で加速した時代の転換

何度か日記でも述べてきたが、今回の新型コロナウイルスによって時代の転換が加速している。加速ということは、これまで20年以上にわたって実は変わってきていたのだが、今回の出来事でそれが決定的となり、多くの人が感ずる、あるいは変容を余儀なくされているということである。
これを前提としてしっかりおさえていなければ、これからのまちづくりはできない。

私なりにポイントをあげると以下の通りである。

(1) 時間・場所の概念が崩れた。

テレワークが進み、多くの人が気づいたはずだ。
新型コロナウイルスの有無に関わらず、自分たちの生活を既存の「時間」「場所」の概念で縛ってきただけの話であって、多くは時間や場所に縛られなくとも実はできる、ということを。

これはすでに数年前からことあるごとに言っていたことだが、曜日や場所の概念が必ず崩れる時代が来る、と。
ついににわかに到来した。
そんな時代を見据え、私は鴨川市のまちづくりにおいて、スポーツや文化というものを切り口として、新たな人々を呼ぶ方策を模索してきた。地域スポーツコミッションの取組みもその一環である。

↓過去の、その一つの日記である。
[2018/10/11] 衝撃の“レス”の時代
http://na.ni.nu/diary/t.cgi/20181011/na.ni.nu2-cont.html

新しい時代において、多くの人たちはもはや決まった曜日や時間、場所に縛られて仕事する、生活するという概念はなくなった。

(2) 薄利多売から単位あたりの価値を高める時代

これは数日前の日記に記したことであるが、密集というものが“悪”となった with Corona 時代において、一度に1ヶ所に大勢の人を集める、多くのものを一気に売りさばいて薄利を積み上げるというものができなくなる。

1時間あたり、1人あたり、1個あたりの価値をいかに高められるかが、今後の社会経済において生き残る一つのキーとなる。
単位あたりの価値を高める、すなわち、既存の価値に加えて付加価値を追求する時代となったのである。

これはある意味健全な方向と言えるだろう。
薄利多売は、効率ばかりが優先され、コストカットなど、結局はみんなが苦しむ社会を生み出す。
決して人々を幸せにはできないだろう。

対して、単位あたりの価値を高めることで、よりクオリティの高い仕事を追求するようになるだろうし、多くの業界で画期的な進化が始まるかもしれない。

(3) 真の「地方分権」が進む。

以前から言われてきた「地方分権」
しかし、それは名ばかりであり、実際には「上意下達」「中央集権」の政治、社会システムが継続していたように思う。

しかし、今回の新型コロナウイルスを見るに、政治・行政の世界では政府の危機対応能力、想像力のなさが露呈し、各自治体の対応が結果的に差を分けることになった。
これほどまでに知事や市長といった首長が注目されたこともなかったかもしれない。

民間においても、本社や本部は機能不全を起こし、末端の支社や支部、一人ひとりの判断が問われる状況になっているケースが多くあるように思う。
恥ずかしながら、神社界において、神社本庁が機能を果たさず、全国の都道府県神社庁よりこれまで例を見ない厳しい申し入れが本庁に公式に寄せられている。

要はこうした危機において、一人ひとりが自分事として最終にどのように考え行動するか、が重要である、ということだ。

きっと真の「地方分権」が一気に進むことになるだろう。
これは結果的に社会・経済のリスクヘッジにもつながるのである。

(4) 都市から地方へ人が動く。

「密」が否定される時代。
これは都市生活の終焉と言っても良いかもしれない。

しかしながら、2011年の東日本大震災でもすでに露呈しているように、都市生活というのは災害など、有事には極めて脆弱なのだ。
物流が止まれば食料品はなくなる。生活必需品は手に入らなくなる。ライフラインが止まればもはや何もできない。

今回の新型コロナウイルス禍により、大勢の人が気づいたはずだ。
地方の方が有事に強く、自分たちの生命を守る生活が送れる。
人間的な生活を継続できるということを。

実際、鴨川市においても、移住相談が増えてきているのだという。
私はこれは一時のトレンドに終わらないと見ている。
前述した時間・場所の概念が崩壊したことにより、都市から地方への人口の還流(移動)が始まると思う。
旧来の観光型滞在ではなく、仕事と観光を両立するワーケーション、二地域居住(デュアラー)、さらには移住・定住というトレンドがこれから推進されていくだろう。

現時点において大ピンチかもしれないが、実はこの後、間違いなく地方に大チャンスがやってくる。私はそう確信している。

(5) グローバリズムの終焉

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、世界中の多くの国で自国を守るため、あるいは地域ごとを守るため、水際対策として海外渡航禁止、地域封鎖、都市封鎖が行われている。

2000年過ぎ、時の小泉首相が打ち立てた「Visit Japan」から始まるインバウンド(外国人観光客誘致)政策によって、この20年、日本にも多くの観光客が訪れるようになっていたが、今回のウイルスによって、それが一瞬にして、もろくも崩れ去った。
国際便は軒並み運休。人々の行き来、さらには国際物流まで影響が出ている。

これまでグローバリズムを推進してきた国々が率先して国境を封鎖しているというのも、なんだか皮肉な話である。

これから問われるのは、日本においても「地方分権」ということばで前述したように、世界においても画一的なグローバリズムではなく、それぞれのローカルの特徴を活かし、まずはローカルが力強く成立し、その集合体として社会、国家、世界が形成されるローカリズムであろうと思う。
結果的にそれが社会に真の強さ、しなやかさをもたらすと思う。

まずは社会の構成単位ともなる小さなエリアで、いかに社会経済を活き活きとまわすことができるか、それが今後重要になるだろう。
ある意味、江戸時代以前の地域社会(クニ社会・ムラ社会)のあり方がヒントになるかもしれない。

(6) 情報の重要性

ホリエモンなどが今回の新型コロナウイルスの一連の騒動を「インフォデミック」と表現しているように、私は情報というものが与えた影響は相当に大きかったと思われる。
これが、30年前だったら、どうであっただろうか。
おそらくここまでの騒ぎにはならなかったかもしれない。

インターネット、さらには拡散力の高いSNSの普及によって、いまではたった一人が世界のどこかで発した情報が、瞬時にして、全世界に情報が広まっていく。
その中には大げさな情報、デマなども含まれる。
そして、情報はさらに情報を生み出し、拡大する。

疫病対策だけでなく、情報対策の重要性の方が実はもっと大きいのかもしれない、とさえ思っている。

一方、鴨川市でも、窮地に陥った飲食店がテイクアウトを新たに展開したり、それぞれに努力をしてはいるが、それがいまいち市民に広く伝わっていなかったりもする。
こういう時にこそ、効率的に多くの市民に伝えられる、共有できる情報媒体があれば、と思ってしまう。
2008年にスタートした「かもナビ」が本来はその役割を担えれば良かったのだが……。これまで数年にわたり、自分が管理にさほど携わってこなかったこともあり、私も創設した者の一人として責任を感ずる。

かもナビの取り組みを語る過去の講演でも、「情報が氾濫しているという現代社会において、地方は実は“情報共有不足”である」と語ってきた張本人なのに……。
その状況はいまでも同じだったということだ。


鴨川市が目指すべきまちづくりを語っていく上で、自分なりにまずはおさえておくべき時代の転換、トレンドといったものをまとめてみた。
それでは、それを踏まえて、実際にどんな施策が考えられるのか、続きは次の日記に譲りたい。

(その2へつづく)


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− 2021年7月29日 17時21分 更新 by やまちゃん

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